飲食店経営を始めるにおいて、気になる一つが収入面ですよね。
「どのくらい儲かるのか?」
「年収はいくらくらいか?」
結論から書いてしまうと、オーナー年収620~630万円といったデータがあります。
ただし、この数字は黒字店の経営者の年収傾向であり、赤字店を含めると平均値はグッと下がります。
また、居酒屋なのかカフェなのか、お店の営業形態によっても年収は上下する傾向です。
このページでは、飲食店経営が儲かるのか、収入を伸ばす方法、年収傾向までをまとめてみました。
飲食店経営のお金事情を知りたい方はぜひ最後までご参考ください。
飲食店経営者(オーナー)の年収傾向
まずは、飲食店経営者(オーナー)の年収傾向です。
業態別に経営者と正社員の年種目安で一覧としてみました。
業態 | 経営者年収目安 | 正社員年収目安 |
---|---|---|
居酒屋 | 300万円〜2500万円 | 400万円 |
レストラン | 400万円〜600万円 | 390万円 |
ラーメン屋 | 800万円〜1000万円 | 400万円 |
カフェ | 200万円〜500万円 | 400万円 |
バー | 200万円〜300万円 | 410万円 |
地域や規模感にもよりますが、概ねこのような傾向があります。
安定した正社員に比べ、経営者は不安定でもありますが、基本的にはそれなりに多い年収傾向です。
ちなみに、国税庁発表の「令和4年分民間給与実態統計調査」では、給与所得者の平均年収は458万円なので、羽振りのいい経営者もいれば、一般給与所得者や飲食店正社員よりも年収が少ない経営者もいるという数字です。
赤字店オーナーの年収も考慮すると
上記は黒字店の数字なので、実情は赤字店の経営者年収も考慮しなければなりません。
赤字店の年収は不明でもありますが、おそらく100~300万円といったところで、月々の支払いにも困るような数字になってくるはずです。
そして、赤字店の割合は約38%。
日本政策金融公庫によると、創業1年後に黒字化できた飲食店は61.8%、赤字経営は38.2%という数字も発表されています。
カフェで考えると、以下のような傾向となります。
- 62%は200〜500万円
- 38%は100~300万円
- 平均だと160~410万円
厳しい見方をすると「リスクの割に儲けは少ない」という数字かもしれませんね。
黒字化はもちろん、いかに収益を伸ばすかが年収にも繋がってきます。
飲食店経営の収入を伸ばす方法
飲食店経営の収入を伸ばす方法は、シンプルに考えて大きく2つ。
売上を増やすか、経費を減らすかです。
売上を増やす
施策例 | |
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客数を増やす | ・SNSやチラシで新規集客 ・満足度UPでリピーター増 ・ピーク時の回転率を上げる |
客単価を上げる | ・料理価格アップ ・追加オーダー促進 ・セットメニュー活用 |
売上を増やすには、客数か客単価を上げる必要があります。
たくさんの施策がありますが、費用がかってしまいがちなので費用対効果には気を付けてください。
現状でまず必須かつコスパがいいのはSNS運用で、特にInstagramには力を入れましょう。
SNSでは、魅力的な写真も集客に繋がりますが、毎日の発信とコミュニケーションが非常に大切です。
上手にSNS運用をしていると、「今○○が売れ残っています」と発信後すぐにたくさんのお客様がやってきてくれることも多々あるくらい効果的なので、ぜひ積極的にSNS発信をしてください。
経費を減らす
施策例 | |
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仕入れ費削減 | ・食材見直し ・仕入先見直し ・大量仕入れによる価格交渉 |
人件費削減 | ・自動化でスタッフ減 ・能力による給与差別化 |
光熱費削減 | ・価格交渉 ・ピーク時以外の使用量調節 |
経費減は収益増にもなりますが、かなり注意して施策しなければなりません。
お客様やスタッフの満足度は下がりがちとなるので、長期的に見ると売上ダウンにも繋がってしまいます。
満足度を下げないよう、計画的に経費削減を行いましょう。
飲食店経営は儲かるのか?
結局のところ「飲食店経営は儲かるのか?」が気になりますよね。
よく言われることでもありますが「基本的に飲食店業界は厳しい」という現実もあります。
実際に私の周りの経営者さんも「経費は上がるのに商品価格転嫁できない」「お客さんの財布が固くなった」等、良い話より悪い話の方が多い感覚があります。
まあ、儲かっている方は黙って儲けて、あまり儲け話を広めないという側面もあるかもしれませんが。
美味しいだけでは儲からない
実際「美味しいものを食べてもらいたい」という想いだけでは儲かる可能性は低いです。
美味しいものは当然として、ジャンル・タイミング・インパクト・ニーズ・アイデアなど、様々な要素を押さえてこその飲食店成功があると考えます。
もちろん、数字面での経営管理も含めてです。
優れたコンセプト+経営管理で、やっと儲ける舞台に立てると考えるくらいでもいいでしょう。
飲食店の数字管理としてFL比率(食材費+人件費/売上高)はきっちりと管理し、常に改善を努めましょう。
ひとつの目安としては、食材費と人件費合わせて、売上の60%以下に抑えるべきです。
継続してこその飲食店運営でもあるので、しっかりと数字管理をしてください。
継続してこそ儲かる
飲食店運営において、継続は非常に大切です。
例えば、ある繁盛店さんが「ウチは開店時から何も変わってない。けど、開店2年間は赤字続きで、3年目から黒字転換した」と仰っていました。
内容としては「リピーター獲得で、地道に客数を伸ばしていっただけ」とのことですが、これは多くの飲食店に共通することでもあります。
地道ですが、経費削減に努めつつも集客と満足度向上を目指し、リピーターを獲得しましょう。
SNSやメディア露出で行列ができることもありますが一時的なものです。それだけでは安定経営には繋がりません。
いかに集客してリピートしてもらえるかという基本をしっかりと守りましょう。
流行りのジャンルは儲かる?
行列の飲食店を見ると「儲かってるな」という印象を抱いてしまいますよね。
が、行列店には2種類あると考えます。
- 地道にお客を掴んできたお店
- 流行りのジャンルのお店
地道にお客を掴んできたお店は、安定的に儲かっているはずです。
しかし、問題は流行りのジャンルのお店で、儲かるのは一時的。
流行りのジャンルのお店の多くは、ブームが過ぎると閉店という結果が大半なのが現実です。
理由としては複数ありますが、歪んだ需給と経費の圧迫により、蓄えていた利益を吐き出してしまうためと考えます。
2017年頃のタピオカブームから、いまだに生き残っている店舗がどれだけあるのか、今でも行列ができているのかを考えるとわかりやすいかもしれません。
個人的に、流行りのジャンルへの参入はおすすめしません。
もし参入するとしても、短期的に利益を上げて早期撤退の計画を練るべきです。
やはり、地道に集客&満足度向上によるリピーター獲得が儲かるための王道です。
行列店に近道はないと考えて、しっかりとニーズのあるお店作りを目指してください。
まとめ
- 黒字飲食店のオーナー年収620~630万円の傾向
- 赤字店舗は年収100~300万円の傾向
- FL比率(食材費+人件費/売上高)をしっかり管理
- 継続してこそ儲かる
- 美味しさだけでは儲からない
- 流行りのジャンル参入に注意
飲食店経営は、基本的に簡単ではなく、厳しい現実が待っていることも多いです。
運転資金を計画的に使いつつ、着実にお店のファンを増やして利益を伸ばしていきましょう。
また、実例として飲食店の開業費用と収益もまとめてみました。
「実際飲食店の数字ってどんな感じ?」という方はこちらも合わせてご参考ください。